いつでも子育てほっとライン
こどもとの関わり方で迷い、感情の迷路に迷い込んだとき。後悔や不安の波に溺れそうになったとき。こうした状態にひとたび陥ってしまうと、ママやパパだけでの力では出口を探すことも、波を乗りこなす術を身につけることも簡単ではありません。
電話相談窓口「いつでも子育てほっとライン」では、18歳未満のお子さんの子育てに悩む声を24時間365日体制で受け止めています。相談員の方に詳しいお話を聞きました。
ママライター(菜)
誰にも言えない子育てのモヤモヤ。 1人で抱え込まず電話をかけてみよう
こどもと過ごす毎日の中で生まれるあらゆる悩みに、昼夜問わず電話越しの相談員が耳を傾ける「いつでも子育てほっとライン」。そのはじまりは平成22年4月にさかのぼり、開設の背景には子育てにまつわる不安の早期解消や虐待リスクの早期発見、および児童虐待の未然防止を図ろうという大分県の思いがあります。
特に新生児から乳児の頃は夕方から夜にかけてのたそがれ泣きに夜泣き、日中も合わせると赤ちゃんのお世話は24時間態勢。幼児期もこども中心の生活は変わらず、1人になった瞬間や夜を迎えると子育ての自信をなくし、ネガティブな感情が次々に出てきてしまうことは珍しくありません。けれどそんな闇に負けてしまいそうな今このとき、夜中でも朝方でも、多くの人は働いているかもしれないお昼でも、モヤモヤとした感情に寄り添ってくれるのがこのダイヤルです。
「有人かつ24時間電話がつながる、という状況がこの窓口の素晴らしさ。顔を合わせることも、名前を名乗る必要もないですし、人の声を聞くと安心するという方は多いと思います」。
連絡者の思いを電話口で受け止める、相談員の方々のバックグラウンドはさまざま。もちろん相談員も顔や名前は明かさず、匿名同士だからこそ話せることを大切にしています。
もっとも多い相談内容は? 時間帯や時期に共通する傾向はある?
育児の悩みは多くの問題が複雑に関係しています。例えば不安の原因をひもといていくと、その根幹には経済面や環境面、人間関係、親自身がぶつかる壁が影響しているケースがほとんど。そのため、このダイヤルが対応する悩みの内容も多岐にわたっています。令和5年度の相談総件数は2466件。ひと月あたりの件数には大きな差はないとのことです。
相談内容の内訳はこどもの成長に伴い生じる育児不安・しつけに関することが一番多く、その後は身体的・知的発達の遅れにまつわるもの、パートナーのこどもに対する接し方への疑問といった養護相談などが挙げられています(円グラフ参照)。
また、カテゴリーに分類できない相談も少なくなく、例えばそれらの内容はママ自身の対人関係や日々の疲労感、義理の祖父母や自らの実家との付き合い方、なかにはパパの育児参加を求める声も。平均的な通話時間は15〜20分程度になると言います。
「電話をする際に落ち着いて話すことができない、言葉がまとまらない…という心配をする必要はありません。最初は混乱されている場合がほとんどですが、話をすることで気持ちを整理することができます。そうすると自分の悩みの本質に気づかれる方が多いです」。
プライバシー厳守。 心配せずに心の声を打ち明けて
相談員の方々が大切にしているのは、電話口の声に耳を澄ますこと、そして想像で語らないこと。
まずは気持ちの迷路を抜け出すための現状を把握し、対話を重ねることで相談に至った背景を探り、じっくりと新たな一歩を踏み出すための具体策や、その人に合った気持ちの持ち方を探すお手伝いをしていきます。
また、相談対象となる児童の年齢は小学生が27%と多いものの、0〜3歳未満、3歳〜学齢前、高校生・その他も20%程度とほぼ横ばいの数字(円グラフ参照)。
悩みの詳細は小学生の場合、不登校や生活態度、近年ではゲーム依存に対する心配ごとも増えているとのこと。0〜3歳未満では夜泣きや授乳、排せつ、離乳食、イヤイヤ期など。3歳〜学齢前では自己主張が活発になる分、親としての注意が増えることへの悩みも目立つと言います。
実は(菜)もついこどもに対してカッとなってしまい、罪悪感にさいなまれる毎日。ですが後ろめたさが自分の中にある分、悩みを打ち明けることをためらってしまいます。
自分を否定されると心が壊れてしまうかもしれない。本当にプライバシーは守られるのか。
自分が考える以上に親としての自身の行いは良くないのではないか?
そう考えると、不安でたまりません。
けれど相談員の方が返してくれた言葉は、とても温かいものでした。
「お母さんはみんな、そんなものよ。誰でもそうなるよ。」
さらに言葉は続き、「相談者の言うことを非難否定しないというのが、この“ほっとライン”のあり方。実際も恐る恐る電話をかけるお母さんはとても多いんです。だけど大丈夫。してしまったことはそれでよい。時には怒ることも本当に必要ですからね。大切なのはそのうえで“次はどうするのか”を一緒に考えていくこと。原則、秘密は守ります」。
親だって迷い悩んで当然。 話すことで見える明日がある
ママの孤立感の強さや悩みの内容によっては、さらなる支援・相談先を提案することもあるそう。
「お住まいの市役所や町村役場の子育ての相談を担当している部署、大分市であれば子ども家庭支援センターという場所を案内することがあります。実際に訪ねることを強制することはありません」。また、電話での相談が難しい方はLINE相談を。
大分県のLINE公式アカウント(@oitapref)では、 妊娠・子育てに関する疑問・質問への自動回答機能のほか、子育てについてチャット上で相談ができる機能を備えています。
最後に相談員の方からメッセージもいただきました。
「実は数年前、(相談員自身の)母が正月に骨折をしてしまったことがありました。介護が必要な状態になってしまったのですが、時期が時期ですから相談先もなく、不安で夜も眠ることができませんでした。そんなとき(介護に関する)24時間対応の相談窓口があると聞き、実際に電話がつながったときのうれしさは今でも忘れられません。同じように不安なお母さんたちには夜中でも迷わずに電話をかけてきてほしいです。どんなときでも、どんな状況でも常に電話はつながります」。
いつでも子育てほっとライン
℡.0120-462-110 (24時間365日対応)