1泊2日〜利用できる宿泊型とは異なり、10~17時までの日帰り利用となるデイサービス型。宿泊よりも短時間である分、家庭とのバランスを取りながら専門家のサポートを受けることができます。きょうだい・家族の生活リズムにより、宿泊が難しい方でも検討しやすいですよね。ほかにも昼間しか休息をとることができない、日中の子育ての手が足りなくて困っている…などの悩みを抱えている方はぜひご利用ください。利用上限は宿泊型とデイサービス型、訪問型を合わせて最大7回となっています。

 さて。この日は別府市火売(ほのめ)で産前産後のママたちを支える助産所『おおのさんち』を訪問。地域周産期センターで3年、その後産婦人科クリニックに7年勤務し、2023年にこちらの助産院を開業した、助産師の大野咲子さんにお会いしてきました。

 驚くことに大野さんご自身も現在、3人のお子さんの子育てに奮闘中とのこと! そのため、足を運ぶママたちの身近な存在となっています。また、女性たちを孤立から守り、育児へ向かう気持ちを絶妙な距離感から後押ししています。


 サポートの内容は、ママの健康状態や乳房のチェック、産後の生活のアドバイスをはじめとする利用者の心身のケア。さらに育児の面では赤ちゃんの健康状態や体重・栄養方法の確認、授乳や沐浴(もくよく)の指導などを行ってくれるそうです。
 出産によって疲弊するのは身体だけではなく、ホルモンバランスの乱れや育児に伴う睡眠不足からメンタルが不安定になり、産後うつ状態に陥ることも少なくありません。


 一方、『おおのさんち』をはじめとする産後ケア事業に取り組む施設では、衣食住が完備された環境下でママがしっかりと休息をとることができるのも大きな魅力です。
 

 デイサービス型では、提供される昼食も、自分の食事にはなかなか手が回らないママに喜ばれるサービスです。ちなみに『おおのさんち』では、助産所内の専用キッチンで調理師さんが調理した出来立てのランチを提供しています。
「産後間もないママたちの隣にいて驚いたのは、出来立ての温かい食事を前にした利用者の方々の喜びが想像以上だったこと。子育ては何事も赤ちゃんが優先になるため、女性は無意識に自分のことは後回しにしてしまうんですよね。

 また、現在のママたちの情報収集はSNSが主流。そこに広がる世界とのギャップに悩み、追い詰められてしまう人も少なくありません。だけど悩みごとがあるのなら、SNSを心のよりどころにするのではなく、産後ケア事業を利用してみて、と大野さん。
産後のママは気を張ってしまい、知らぬ間に自分を追い詰めてしまいがち。ですが短い時間であっても他者と関わり、自分を見つめ直すことで、赤ちゃんとの明日を笑顔で迎えることができるのかもしれません
 

 取材時にお会いした2人の利用者ママからも、「ささいな不安も大野さんに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になりました。いろいろな赤ちゃんのケアについても丁寧に教えてもらえるので、利用を迷っている方はぜひ利用して」と前向きな声。

 1人のママは上のお子さんがいるそうですが、前回出産した際は産後ケア事業の存在を知らなかったと言い、「1人目を出産した後は休む時間がなく、少しだけでも良いから休みたい、誰かに話を聞いてほしいという気持ちを常に抱えていました」と振り返ります。
産後ケア事業を利用することで、ママ自身の健康管理や赤ちゃんのケア・成長に合わせた関わり方などの知識を身につけることができ、緊急時にも冷静な対応ができたという感想も。

 なるほど! 確かにママにとってはそういうメリットもありますよね。
 

 そして2024年4月からは、アウトリーチ(自宅訪問型)の産後ケア事業もスタート(※訪問型支援は2025年1月時点では県内12市町村で実施)。

 生後1歳未満のお子さんのいるママのご自宅等を助産師が訪ね、1回2時間を目安に乳房のケアや育児相談を実施しています。
出産した医療機関を退院後すぐにスタートする赤ちゃんとの生活が不安、離乳食がなかなか進まない、保育園の入園を控えて授乳の継続を迷っているなど…、

『おおのさんち』も受託施設として訪問型支援を実施しているので、お困りの方はぜひご利用ください。

利用にあたって

 お住まいの市町村に申請が必要になります。承認が下りるまでにはおおよそ2週間ほどの日数を要しますので、スケジュールに余裕を持ってお申し込みください。
また、準備物は実施施設ごとに異なるため、予約時に施設にご確認をお願いします。
 

※赤ちゃんの対象月齢や利用条件、予約方法、利用方法の手順は市町村ごとに異なるため、以下よりお住まいの地域の窓口へご確認ください。

◎取材施設 

助産院 おおのさんち
別府市火売8-2