大分県主催 子育て応援イベント~パパの子育って楽しい!~

家庭内でパートナー同士が協力し、家事育児に取り組む“共育て”の必要性が高まる今、改めてパパの子育てを見つめ直す機会として、大分県が子育て応援イベントを開催。日時は令和7年2月23日(日)、会場はJ:COMホルトホール大分。スペシャルゲストに杉浦太陽さんを迎えた1部ではトークショーを、2部ではイクボス宣言企業とおおいたパパくらぶ、杉浦さんによる対談も行われました。司会はフリーアナウンサーの小野亜希子さん。

お話がつきないイベントになり、子育てのタネでは、4回に分けてお伝えします。
 

杉浦太陽 PROFILE 1981年3月10日生まれ 大阪府出身(岡山県生まれ)。 2001年『ウルトラマンコスモス』主演。以降俳優、タレントとしても幅広く活動、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』他、さまざまな作品に出演。「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」「イクメンオブザイヤー」「いい夫婦パートナーオブザイヤー」などを受賞、「たまひよ好きなパパランキング」では殿堂入りを果たす。プライベートでは2007年に元モーニング娘。の辻希美さんと結婚。4児のパパであり、先日第5子の妊娠を発表。

2人の家庭であり、2人のこども。 夫婦が同じ目線で歩むことが大切

杉浦 こんにちは! 皆さん、今日は3連休の真ん中にも関わらずありがとうございます。実は僕、大分に来るのは3カ月ぶりです。昨年の11月にも国東市でイベントがありましたし、その前には番組の収録で竹田市や姫島村、湯布院でロケをしたこともあります。

小野 ありがとうございます。今日は子育ての素晴らしさをぜひ、大分のパパたちに広めていただければと思います。早速杉浦さんのご家族の構成から教えていただいても良いでしょうか。

杉浦 僕と妻は結婚18年目。こどもが上から女・男・男・男と4人いるんですけれども、今は幼小中高と全員そろっています

小野 教育機関を全てコンプリートされていますね!

杉浦 参観日がむちゃ大変です(笑)。今年は保育園と小学校の卒業がかぶっていますし、(4月から)中学3年の長男は受験もあって。長女は昨年デビューして慌ただしかったですね。

小野 今の杉浦さんのお話だけでも、お子さんたちの年齢に応じた幅広い悩みがあるのでは?と察することができます。ですが今日のイベントのテーマは“パパの子育ては楽しい”になりますので、まずは杉浦さんがパパになりたての頃のお話から聞くことができれば。2007年当時の杉浦さんの年齢、お仕事の状況も教えていただけますか。

杉浦 26歳でしたね。当時はまだ今のように父親が育児参加するのがあまり浸透していなかった時代。今日も夫婦そろってイベントに参加していただいている方が多いですけど、僕は昔ベビーカーを押していると笑われたことがあります。抱っこひもを使って娘を抱いているのは僕だけ、保育園のお迎えに行くとパパは僕だけという状況もよくありました。だからこの18年の間の変化はものすごく感じます。

父性の芽生えが心配なら  自ら知識をつけて行動すればいい

小野 “子育て”という言葉はこどもが生まれた後に使うイメージなのですが、杉浦さんの場合は生まれる前から?

杉浦 そうですね。父親は母親に比べて親の自覚が芽生えるのが遅いということは知っていたので、全ての健診に妻と一緒に行くことは最初から決めていました。だけど僕自身、実はマタニティという言葉も以前は知らなかったくらいです。初めて赤ちゃん用品の買い物に行ったときも、抱っこひもって何?とか。なにもかもが初めての経験だったので、僕の子育てはそこから始まったイメージはありますね。親になる準備、育児を通して自分自身も変わっていかないと。学んでいかないといけないな、というのは感じていたと思います。あとは、皆さんも同じだと思うのですが、やっぱり1人目のときに1番世界が変わるというか。健診で初めて赤ちゃんの心音を聞いたときは衝撃を受けましたし、“僕はこの子の父親なんだ”と実感しました。

小野 第1子となる娘さんが誕生する前からお子さんへの関心、父親になることへの自覚があった杉浦さん。ですが恐らくその当時は、お友だちとそのような話をする機会はほぼなかったのではないですか?

杉浦 そうですね。結婚している友人もいなかったですし、当時はパパが飲みに行くのは当たり前という時代でしたから。だから僕の中で1番大変だったのは、そこを家庭に全て振り切らないといけない…という部分だったかもしれません。家庭を優先させようとして誘いを断ると、友人からは“冷たい”と言われて。飲みに行くと妻からは“今酔ってるの?”、“そこにいるのは男の人だけじゃないでしょ”とか。妻側の立場に立たないとわからないこともたくさんあって。
 

司会は元OBS大分放送アナウンサー・小野亜希子さん。自身の子育ての話を交え、イベントを進めてくれます

ママの苦労は体験しないとわからない  寝かしつけにミルク、パパもまずは実践を

小野 そのような環境でも杉浦さんが積極的に育児に関わっていこうとしたのはなぜですか?

杉浦 友人との付き合いを優先させることが、家庭にとってプラスにならなかったからです。友人を優先させたことはありますが、その行動が妻を不安にさせてしまい、ケンカの原因をつくってしまうこともあって。妻を笑顔にするために一緒になったのに、つらい思いをさせてどうする?と。義理の父に怒られたこともありますし…。

小野 どんな出来事から怒られてしまったのでしょうか。

杉浦 僕が妻に「飲みに行くと怒られるから仲間を自宅に呼んでもいい?」と言って、家で友人と飲んだことがありまして。当時は希空が0歳から1歳くらい。すると別の部屋で寝かしつけをしていた妻から注意されてしまって。でも当時の僕は怒って外に出てしまったんですよ。それで義理の父に…。そしてじゃあどうすれば良いだろう?と考えたときに、寝かしつけからミルクまで一通りのことを自分でやってみようと。すると僕の行動がいかに間違っていたかわかりました。寝かしつけがやっと終わったとしても、赤ちゃんは小さな物音がするだけで目を覚ますじゃないですか。それなのに僕が別の部屋で騒いでいたら、そりゃ腹が立つよなと。育児の楽しさだけじゃなくて、大変さも夫婦で共有しておくべきだと痛感しました。

小野 そんなことがあったのですね。ですがここまでのお話を聞くと、壁にぶつかりながらも杉浦家の子育て・共育ては順風満帆なのかなと感じます。家事分担の話もスムーズに進んだのでしょうか?

杉浦 結婚するまではお互いそれぞれの人生、ルールがあるじゃないですか。だけど結婚によって夫婦の間に新しいルールが生まれるのか、それとも妻のルールに合わせていくのか。その辺りを少しずつすり合わせていった結果が今の僕らだと思います。わが家の場合は妻の方が家にいる時間が長かったので、そこは僕が合わせていく。これがわが家の場合は1番の円満でしたね。

小野 最初の頃はケンカになることもありましたか?

杉浦 料理もお互いにできなかったですし、全ての家事がほぼ初めてでしたから。一緒にやっていって共有しながら学んでいったという感じですかね。
 

家庭円満の秘訣は妻ファースト  僕が妻のルールに合わせていく

小野 杉浦家は家事育児の主導というと、どちらになるのですか?

杉浦 はじめは僕の背中についてくる妻でしたが、やっぱり彼女の方が家にいる時間が長いので。そこはだんだんと僕が妻の背中についていくようになっていきました。

小野 家のこと、育児のことはどうしてもママの方がかける時間が長くなりますよね。

杉浦 わが家の場合はそうでしたね。だけどそれぞれの家庭でルールがありますから。そこに夫婦で向き合い、こどもに起きた出来事を共有していくことが大事だと思います。

小野 そうなると家庭内での会話はとても大切ですね。女性はつい、「言わなくてもわかってほしい」と考えてしまうことも多いですが…。

杉浦 男は気が付かないことが多いですよね。見て見ぬふりをするパターンもあると思いますけど(笑)。今触ったらあかん、話しかけない方がいい。ならこどもと遊ぼう!と思ってしまいがち。だから僕は普段から「嫌なことがあったら愚痴って」と妻に伝えています。でも最初の頃は今と受け止め方が違っていて。妻がこどもやママ友のことなど僕に話してくれますよね。でも妻が間違っていることもあるわけじゃないですか? だから以前は僕なりに妻の話を咀嚼して「そこは間違ってんで」と指摘することもあって。でもそんなときに女性を諭したらダメ(笑)。「それは言われなくてもわかってる!」と言われてしまいますから。「そうやな。それむかつくな」と今は彼女に共感するようにしています。

小野 私が悪いのは百も承知、でも言わせてほしいの…というのが女心。確かに会話の中にママは必ずしも正解や正論を求めてはいないですね(笑)。

杉浦 妻は感情的に話す、夫は理屈で返したがる。そこでケンカになっちゃう。

小野 杉浦さんがそこに気が付いたのはいつですか?

杉浦 2人目のときです。保育園と幼稚園でこどもの通園先が別れたりしたときに、改めて子育ての方針について夫婦で話す機会も増えていきました。
 

男のプライドは玄関に捨てる 家にパパのルーティンを持ち込まないこと

杉浦 僕は一緒にキッチンに立つようにしています。旦那さんが料理ができないなら、切った後の包丁やまな板を洗うだけでも大丈夫。そうしていると自然に会話が生まれると思います。

小野 杉浦家ではキッチンが家族の憩いの場所なんですね。

杉浦 そうですね。ごはんが終わって食器も洗って片付けて。後は寝かせるだけ、というタイミングで会話をすることも多いです。2人ですればその分早く家事が終わるわけだし、夫婦の時間も長く取れますからね。

小野 一緒にするって良いですよね。

杉浦 パパも家事をした方が家庭は本当に平和ですよ。僕も昭和生まれなので親や祖父の時代は亭主関白、その姿を見て育ってきましたけど、いざそのやり方を自分の家庭に持ち込むと何かが違うなって。妻も昭和生まれなので結婚したときは「たあくんが働きに出て、私が家を守るね」と言われましたけどお互いにモヤモヤしてきて。

小野 いわゆる昭和の考え方ですよね。

杉浦 彼女も仕事をしたいし、僕ももっと家庭を大切にしたい。こどもとの時間を築いていきたいという思いが時間とともに生まれてきて。だからその度に夫婦で相談してきました。以前は僕にもケンカをしたら絶対に自分からは謝らないとか、なんで仕事から帰ってきた俺が家事の手伝いせなあかんの?みたいな考えがあったんです。でもそれを実行してみて良いことはひとつもなかった。だから変な男のプライドはいったん玄関に捨てようと。そうしてただいま!と家に帰ると、妻からの頼まれごとにもすぐに動けるし、彼女も笑顔だし。でも仕事はプライドがいるから、いってきます!と玄関に捨てたプライドをもう一度拾って。やっぱり2人の家庭だし、2人のこどもだし。同じ目線で子育てしなきゃ。あと家で偉そうにしていると、熟年離婚とか聞きませんか。
 

(vol.2に続きます)