家での居場所は自らつくる  そのためにはパパが戦力になること

杉浦 産後の恨みは一生じゃないですけどね。やっぱり妻と一緒に歩んできた道を10年、20年とつくっていきたいと思ったので。そのためにパパは、自分の居場所は自分でつくること。家に帰った後も自分のルーティンだけで完結していると、パパはいない存在として認知されちゃう。そうなると、もうこどもたちはお母さんしか頼らなくなります。妻も自分の親や友人を頼るようになりますし。だから僕自身が家庭の中で戦力になる行動をしていかないと。

小野 お仕事も忙しいと思いますが、パパが帰ってきたときに“やった!帰ってきてくれた!”という家族の声や笑顔が物語ることってありますよね。

杉浦 結婚してすぐはみんな幸せ。でも紆余曲折は必ずあるから、努力を続けないと夫婦関係は絶対にさがる。普段の小さな“ありがとう”でいいんです。他にも僕の中で“3秒ルール”というのを決めていて、妻に頼まれごとをしたらわかった!と動くまでの時間を3秒。すぐに動くことによって妻からは「助かる」と言われますけど、“後でやるわ”と返事をしたものなら「じゃあ私がやる」と。それから小さなケンカをなくすためには、言いたいことは明日伝えること。これは僕の母からの言葉ですが、やっぱり一度心を静めてから気持ちを伝えると違います。1日が無理なら5分だけでも良いので。

小野 その方が相手に建設的に気持ちを伝えられそうですね。そしてここまでの時間では、たっぷりと夫婦の時間の築き方について杉浦さんにはお話を伺ってきました。ですから今からは杉浦さん自身の子育てについても。実際に男性が育児に取り組むことで、パパにとってどんな良いことがありますか?

父性が芽生えるって幸せなこと  家族のおかげで人生が豊かになった

杉浦 父性ってあるんだなと実感できることですかね。母性のように「この子のことがどうしようもなく愛おしくなる、この子のためならなんでもできる」という気持ちが芽生えた瞬間が僕にもありました。父性が芽生えると、仕事が終わったらすぐに家に帰りたくなる。家にいる時間が未来をつくっているんだな、という意識に変わっていきました。するとこどもたちから頼られる存在になれましたし、僕が経験してきたことをパパなりの言葉で伝えることができて。人生が豊かになりました。夜泣きを夫婦で乗り越えることで、妻とは戦友のような関係になれましたし。

小野 その絆が夫婦をより強くするんですね。

杉浦 こどもが2人目3人目になるとパパの出番ですよね。妻が下の子に授乳をしている間に公園に行ってくるわ!みたいな。

小野 4人もお子さんがいるとそれぞれの成長過程にあわせて困りごと・悩み事が変わってくるわけですよね。杉浦さんはパパの本領を発揮できるのはお子さんが何歳の頃からだと思いますか?

杉浦 2歳半ですかね。それまでは何をするのも初めて、妻のケアもしなくちゃいけない。仕事もあるからパパとして1番変化を迎える時期だと思います。だけど2歳半くらいになるとコミュニケーションが取れたりして。そして2人目からはもう、0歳からですよね。1人目のときの経験がありますから。それから男性は抱っこひもを使った方が良いですよ。抱っこひもが使える時期は本当に短いので、使えるうちに自分の胸のあたりに赤ちゃんがいる温かさを感じていた方が良い。人生の宝物だと思ってほしいです。3歳、5歳との遊びも楽しいですけどね。一緒にできることが増えていく喜びがあります。

小野 希空さんもデビューしまして、杉浦さんの中ではまた、子育てについて違う想いが生まれた1年だったのでしょうか?

杉浦 来年18歳で成人もしますしね。こどもが成長するにつれて夫婦それぞれのこどもを見守るスタンスも変わってきます。それでもいつでも仲良く、夫婦2人でこどもに向き合っていくことが大切なのかな。

小野 杉浦さんのこれからの子育て、夫婦での育児への取り組み方は。

杉浦 幼小中高と全員いますけど、こどもとの時間を1番に大切にしていきたいと思います。今日は3連休の真ん中ですけど、僕はこの後日帰りで帰ります。家族と一緒ならゆっくり大分に滞在したいですが、今は妻が1人で4人のこどもを見てくれているので。パパがいない時間が当たり前になるのは、家族にとってよくない。大分のお父さん、娘さんと一緒にお風呂に入れる時間は残り少ないですよ。一緒に眠るのもそう。楽にはなりますが、寂しいですよ。

小野 日常をいかに大切にするべきかを教えていただけた気がします。

杉浦 あとはお子さんが寝る前に読み聞かせをしているご家庭は多いと思います。でも部屋の電気が明るいと、こどもの寝つきが悪くなってしまうんですよね。だからある程度こどもが絵本の内容を覚えてきたら、真っ暗な中で読み聞かせをしてみてください。するとこどもたちが空想の中で絵を描き、物語も進化していきます。主人公の桃太郎がいつの間にかウルトラマンになっていたりして。これは僕のこども時代のエピソードですが、大人になった今でも覚えていて。親になったらいつか自分のこどもにしてあげたいと思っていていたんです。寝る前の“空想おとぎ話”、楽しい時間なのでぜひ。あとはこどもの学校関係の書類。1枚1枚がこどもの成長の証ですから、夫婦で目を通すと良いと思いますね。

小野 皆さんもぜひ、取り入れてみてください!
 

-最後にトークショーを終えた後の杉浦さんを直撃。当日の会場にはこどもたちの姿も多かったことから、あまり触れることができなかったという夫婦愛についてのお話を少しだけ聞くことができました。

「何事もこどもが中心になりがちな家庭生活の中で、実は僕が伝えたかったのはパパには奥さんを1番に大切にしてほしいということ。イベントでも少し話をさせてもらいましたが、奥さんの笑顔を守ることこそが家庭円満の秘訣だと思っています。初めてのこどもの場合は、特にパパやママは赤ちゃんばかりを見て、お互いのことが後回しになってしまう。もちろん仕方がないことではあるのですが、そればかりだとすれ違いが深くなってしまうから、早めに時間をつくって2人の関係性を見つめ直した方が良い。僕ら夫婦もその危機を乗り越えたからこそ2人目、3人目、4人目を授かることができたと思います」。

またこの先の子育てについては、「未来が楽しみで仕方がない」とも。
「これから先、自分の子育てが終わったとしても、その頃には孫がいるかもしれない。人生の大半を子育てや家族に使うことができるなんて幸せだし、想像するとワクワクします」。

インタビューの数週間後となる3月に、妻である辻希美さんの第5子妊娠を発表された杉浦さん。家族が増えることで新たに発信される家族のカタチをこれからも楽しみにしています。
 

(vol.3に続きます)