赤ちゃんを迎えるママのからだは、妊娠・出産・産後と大きく変化します。
その変化を理解し、そっと寄り添いながら支えることは、ママにとって大きな安心につながり、家族としても力になれる大切なポイントです。
妊娠期から産後にかけて起こるからだの変化と、家庭でできるサポートの工夫を紹介します。
妊娠期に起きるママのからだの変化
妊娠中はホルモンの影響で気分が変わりやすくなり、眠気やだるさを感じたりします。
おなかが大きくなるにつれて、腰痛や足のむくみ、動きにくさなどの不調が出てくることもあります。
こうした変化のなかで、家族のちょっとした気づかいがママの心身を支える大切な力になります。たとえば次のようなサポートが役立ちます。
- 一緒に家事を行うなど、少しでもからだの負担を和らげる手助けをする
- 足のマッサージを施したり温めてあげたりと、リラックスできる時間をつくる
- 「無理しないでね」と声をかけ、休みやすい雰囲気づくりに努める
見た目は元気そうでも、妊娠高血圧症候群や切迫早産、貧血など、実は不安を抱えていることもあります。
からだを気づかうように声をかけ、妊婦健診に付き添ったりすることは、大きな安心感につながります。無理をさせない環境づくりこそ、家族ができる大切なサポートです。
出産直後のママが安心して過ごすために
出産は「命がけの仕事」といわれるほど、からだに大きな負担がかかります。
なかでも出産直後のママは、出血や会陰の痛み、帝王切開の場合は傷の痛みも深く、思うように動けません。
さらに授乳が始まると、慣れない姿勢をするので肩や腰がつらくなり、夜間の授乳によって睡眠不足が生じ、心身ともに疲れがたまりやすくなってきます。
そんな時期だからこそ、家族ができる次のような手助けが、ママの大きな支えになります。
- 授乳後の赤ちゃんを抱いて寝かしつけ、ママの休息時間を確保する
- 食事や水分を準備し、座ったまま食べられるような工夫を施す
- 「ありがとう」「がんばってるね」と気持ちに寄り添う声がけをする
ママが安心して休めることが回復を早め、産後の生活を穏やかにする大切なポイントです。
無理をさせず、過ごしやすい環境づくりを家族みんなで心がけましょう。
産後に見られる変化との向きあい方
出産後数週間から数か月は、ホルモンの変化によって気分が不安定になりやすく、場合によっては「産後うつ」につながってしまいます。体形の変化や授乳による肩こり・腰痛など、からだの不調が続きやすい時期でもあります。
産後のママを支えるためには、次のようなサポートが役立ちます。
- おむつ替えや沐浴など赤ちゃんのお世話を分担する
- 家事を協力して行い、ママが休める時間をつくる
- 「体調はどう?」とやさしく声をかけ、ママの気持ちを聞く時間をつくる
無理をせず、一人でがんばらなくていいと伝えることは、ママの安心感を促し、心の負担を軽くします。
大切なことは「何をしてあげるか」よりも、「どう寄り添うか」です。困っていることを先回りしすぎず、まずは何ができるかを聞くことが、何よりものサポートになります。
たとえ小さくても続けられる手助けを積み重ねていくことで、子育てと家事を家族みんなで分担し、無理のない形で進めていくようになります。
ひとりで抱え込まないためのサポート先
ママひとり、パパひとりで完璧に育児をこなす必要はありません。
子育ては家族だけで抱え込まず、専門の支援やサービスに頼ることでも、心と体にゆとりが生まれます。
地域の助産師さんや保健師さん、子育て支援サービスは、育児をがんばる家庭の心強い味方です。
産院でのサポートや地域の助産師の訪問、産後ケア事業などを利用することは、家族が安心して子育てを始めるうえで大切なステップになります。
サポートを受けながらママのからだを大切にし、無理のない形で育児を進めていくことは、家族みんなが笑顔で過ごすための一歩です。困ったときは「頼ってみようかな」と思えること自体が、よりよい子育てへの大切な力になります。
この記事を書いた人
(一社)大分県助産師会
両親学級担当