赤ちゃんが生まれると、それまで自分たちのペースで進めていた暮らしが、がらりと変わります。
「え、そんなに変わるの?」と思われるかもしれませんが、1日の流れが赤ちゃん中心になるのは自然なことです。
「スマホでも見ながら、少しゆっくりしたいな」と思っても赤ちゃんのペースが優先され、これまでのように自由な時間がとれないこともたくさん出てきます。それでも、ふとした瞬間に見せるニコッとした笑顔に癒され、不思議と疲れも吹き飛ぶものです。
パパとママ、そして赤ちゃんと共に始まる新しい暮らしがどのように変わっていくのか、思い描いてみましょう。
赤ちゃんのリズムが家族の毎日をつくります
「出産は全治1ヶ月の交通事故に匹敵する」といわれるほど、ママのからだに大きな負担を与えます。
出産後は痛みや疲れがからだに残るだけでなく、ホルモンバランスの変化で感情のコントロールも難しくなってきます。だからこそ、パパのサポートが重要になってくるのです。
パパにもできることがたくさんあります。
おむつ替え、お風呂、寝かしつけ、家事などふたりで分担しながら、赤ちゃんと向き合いましょう。
[授乳]
- 授乳が生活の中心になります。平均して1日8〜12回、1回20〜30分、それ以上のこともあります。
- 授乳前のおむつ替え、授乳後のゲップ確認、寝かしつけまで含めると約1時間ほどかかります。
- 母乳でなくミルクの場合でも、「お湯を沸かして適温に冷ます」→「哺乳瓶に入れて飲ませる」→「哺乳瓶を洗って消毒する」と多くの手順があり、まとまった時間を要します。
[おむつ替え]
- 1日6〜8回、多い日は10回以上となります。
- お出かけ前にウンチをしたり、おむつ替え後にオシッコをしたりと大変ですが、赤ちゃんのタイミングに合わせておむつ替えを行いましょう。
- ウンチやオシッコは体調の変化を知るポイントなので注意深く観察しましょう。
[お風呂]
- 授乳や睡眠のタイミングを見ながらお風呂の時間を決めましょう。
- ベビー用ソープやシャンプー、ガーゼなど、赤ちゃん対応のお風呂用品を揃えましょう。
- 服を脱がせて、からだを洗い、拭いてから保湿、着替えと多くの作業があるので分担してのぞみましょう。
1日の暮らしが赤ちゃんペースで進んでいきます
赤ちゃんが生まれると、赤ちゃんの生活リズムに合わせて動くようになるため、外出のタイミングも、夜の過ごし方も、すべてが赤ちゃん中心になります。
これまで当たり前にできていたことが思い通りにいかない場面も増えてきますが、そのぶん家族の時間が増え、赤ちゃんとの関わりの中で新しい発見も生まれていきます。
お出かけ
「ちょっと買い物に」という気軽なお出かけも、赤ちゃんが生まれると準備が大変です。
おむつ、ミルク、おむつの替え、ベビーカーや抱っこひもなど、必要なものを欠かさずチェック。
そのうえで赤ちゃんの機嫌やおなかの空き具合などを見ながら、「今なら行けそうかな?」とタイミングを見計らって出かけるようにしましょう。
おやすみ
夕食を終えて眠りにつくまで、これまでゆっくりとくつろいでいた夜のひとときも、赤ちゃんとの暮らしがはじまると様相が一変します。
夜泣きや夜中の授乳、おむつ替えなど、夜明けを迎えるまで、まとまって眠ることが難しくなりますが、産後のママの体調回復に睡眠は重要です。授乳の合間に休めるように対応しましょう。
また、ママの話を聞く時間も忘れずに。
子育てに悩んだ時は、夫婦だけで抱え込まないで
ふたりで力をあわせて赤ちゃんと向き合っていこうと思っても、わからないことが多すぎて困ってしまうことがありませんか?
スマホなどでネット検索をしても、あまりにも情報が多すぎて余計に不安になってしまったり、どれを信じていいのか混乱してしまうことも少なくありません。
そんなときは、身近な助産師や保健師、地域の子育て支援センターなど、直接相談できる専門職に頼ってください。「こんな小さなことを聞いても大丈夫なのかな?」と思うようなことであっても、遠慮せずに相談してください。相談することは“頼る練習”にもなり、安心できる答えにきっと出会えます。
こども中心の暮らしは確かに大変です。しかし、まわりのサポートと家族の愛情があれば大丈夫です。
赤ちゃんの成長と一緒に、パパもママも“親”として成長していきます。夜泣きで眠れなかった日々も、いずれ「あの時は大変だったね」と、笑って振り返られる日が必ず来ます。
困ったときはパパとママだけで抱え込まず、いつでも相談してください。あなたのそばには私たちのような助産師や専門家、そして支えてくれる地域の力が必ずあります。
この記事を書いた人
(一社)大分県助産師会
なないろの虹助産院 有次奈知