赤ちゃんから3歳頃までのこどもは、誤飲、転落、やけどなど、家庭内での思わぬ事故に遭いやすい時期です。
救急現場に向かう救命士たちも「まさかこんな場所で?」というケースに直面することが少なくありません。
事故は特別な状況ではなく、日常の中のほんの一瞬のすきまに起こるのです。
これまでいくつもの現場と直面してきた私たちから、家庭で起こりやすい事故と予防のポイント、緊急時の対処法についてお伝えします。
こども目線で“おうちパトロール”をしておきましょう
こどもの事故は動きが予測しにくく、常に見守っていても一瞬のすきまに起こります。ずっと目を離さないことは現実的に難しいため、「どんな事故が起こりやすいのか」を知って備えることが大切です。
消防庁の「救急お役立ちポータルサイト」では、家庭内で発生しやすい事故の上位10事例と対策がまとめられており、日常の見直しにとても役立ちます。ご自宅の環境と照らし合わせながら、どんな危険が潜んでいるかを想像してみましょう。
たとえば、2位の「おちる」。資料ではベランダの例が紹介されていますが、実際には椅子・テーブル・ソファなど、家のあらゆる“高さ”が事故につながります。
食事の準備中にちょっと目を離した瞬間に落ちてしまい、大きなたんこぶで救急要請につながるケースもあります。
3位の「たべる」は、誤飲事故のことを指します。
口に入れようとしている瞬間を見れば止められますが、親の知らないところで飲み込んでしまい、時間が経ってから痛みを訴えることも珍しくありません。
特にボタン電池は体内で消化管に接触して消化液等の電解質に電気が流れると、電気分解によってアルカリが作り出され食道や胃などの消化管を損傷(化学やけど)する危険があります。また、小さな磁石を複数飲み込んで腸同士がくっついてしまい、内視鏡では取れず開腹手術になった例もあります。
小さな部品や乾電池・薬などは、必ずこどもの手の届かない場所に保管しましょう。
以下は国民生活センターの注意喚起ページです。動画も掲載されていますので、ご覧ください。
おうち事故を未然に防ぐには、こども目線に立っておうちの中を見直してみるのがおすすめです。こどもたちは、おうちの中がどう見えているのか、資料の事例を当てはめながら“おうちパトロール”をしてみて、どんな対策ができるかを一つひとつ確認してみましょう。
安全な環境づくりは、今日からすぐに始められる“こどもを守る力”になります。
もしもの時に慌てずに行うこと
ところで、夜間や休日におうち事故が起きたとき、救急車を呼んだほうがいいのか、病院に行ったほうがいいのか、もしくは自宅で安静にしておいたほうがいいのか、迷うことがあるかもしれません。
そんなときは、相談料無料で利用できる「こども救急電話相談」に尋ねましょう。看護師などが緊急性の有無や応急手当ての方法、適切な医療機関などについてアドバイスをしてくれます。
緊急時にはためらわず119番通報を!
スマートフォンは救急対応に活用できます
もしも救急車を呼ぶようになった場合、余裕があれば現在の症状をスマートフォンで動画撮影しておくことをお勧めします。
救急隊員が駆けつけた時に動画を見せながら症状を説明でき、到着するまでに容態が急変した場合でも通報時の初期症状を伝えられるからです。
ただし、最も重要なのは応急手当や119番通報です。最優先すべきは動画を撮ることではありません。適切な応急処置を行わなかったり、通報が遅れてしまうようなことがないように注意してください。
なお、関係省庁や自治体ではインターネットやスマートフォンを活用した救急対応をリリースし、利用を呼びかけています。
そのうち3例をご紹介しますので、いざという時のために、ぜひご活用ください。
救急受診アプリ「Q助」(総務省消防庁)
救急時の適切な行動をサポートするためのツールです。
症状を選択していくと「今すぐ救急車」「早めの受診」「様子見」などの対応が表示され、病院検索やタクシー手配の情報もご覧いただけます。
119番映像通報システム(おおいた消防指令センター)
119番に通報後、指令センター職員の指示により、スマートフォンのカメラで現在の状況を動画で伝える機能です。
必要に応じて応急手当の方法などを、動画を見ながら指示をしてもらえます。
応急手当WEB講習(総務省消防庁)
心肺蘇生法などの応急手当を動画でわかりやすく配信しています。
万が一の緊急事態に備えて、日頃から身につけておくといいでしょう。
応急手当講習を実際に受けるには
また、県内の各消防本部では応急手当講習を行っています。
この講習会では、実際に訓練用の人形、AEDを使用して心肺蘇生法の練習を行うことができます。
受講を希望される方は、お住まい・職場を管轄する消防本部・消防署にお問い合わせください。
この記事を書いた人
大分市消防局 救急救命課 指導救命士 甲斐 淳一 指導救命士 花宮 慎吾